夏のアウトドアと水分補給特集!~カブトムシ採り徹底ガイド~




昆虫採集の王道!カブトムシを採りに行こう!


プール、海水浴、花火……。夏の遊びは数あれど、なかでも冒険心とアドレナリンをかき立てるのがカブトムシ採り。お宝を求めて林に分け入るのは、ほかの遊びでは味わえない興奮があります。水分補給をしっかりしながら、夏のアウトドアを楽しんでみませんか?



「そうはいっても、カブトムシがいる森が近くにないよ」なんて人もいるかもしれません。しかしそれは、彼らの居場所に気づけていないだけ。本州以南の都市であれば、どんな街でも30分ほど郊外に移動すればカブトムシやクワガタのひそむ緑地が広がっています。





まずはパソコンかスマートフォンを立ち上げ、地図アプリで自宅周辺の衛星画像を出してみましょう。続けて画面をズームアウト。俯瞰図が広がっていくうちに、画面のなかに緑地帯が入り込んでくるはずです。緑地帯を見つけたらその場所の地名を確かめて「カブトムシ」「クワガタ」といった言葉と合わせて検索します。いくつか繰り返すうちに、探し出した緑地帯でカブトムシが採られた記録が出てくるはずです。

注意したいのは、その場所での昆虫採集が許されているかどうか。カブトムシが採れる! という情報があっても、私有地や公園などでの採集は慎みましょう。



カブトムシはどんな木で採れる?
 

カブトムシやクワガタの食物は、樹木から流れ出る「樹液」。樹木が光合成によって作った糖が外へ流れ出すと、それが発酵して虫を呼びます。しかし、どんな木の樹液にも集まるわけではありません。カブトムシにも好きな樹液があります。カブトムシやクワガタに人気なのがナラの仲間が出す樹液。もっとわかりやすく言うと、ナラの仲間はドングリのなる木の仲間です。ドングリをつける木の樹液はほかの木と比べて発酵しやすいので、ドングリを拾ったことのある場所に行って木を見て回ると、そのなかにカブトムシが集まる木があるはずです。

ドングリの木のほかに、虫たちに人気があるのがヤナギの仲間。ヤナギの仲間は幹から樹液をだすほか、細い枝をクワガタがかじって自分で樹液を出させることもあります。

カブトムシとクワガタの多くが夜行性なので、採集するなら20時から真夜中にかけて樹液を出す木をまわるのが効果的。深夜を過ぎると、虫たちは樹液を離れて枝葉が茂った場所や、木の根元の落ち葉の下、樹液近くの樹洞などに隠れます。日がのぼってからはこれらの居場所を探すと日中でも採集が可能です。


クヌギ 

樹液を出す木の代表選手。樹液を出す規模が大きく、数十年にわたって樹液をだすことも。縦にヒビの入った樹肌とギザギザのある細長い葉が特徴。


コナラ
 
クヌギによく似るが、樹肌が白っぽく葉は幅広。コナラは低地に多く、高地には近縁なミズナラが生える。コナラ、ミズナラともに虫たちに人気。


カシ類
 
住宅の周囲の屋敷林や社寺に多い常緑樹。樹肌に細かい突起があるシラカシ、その突起がより粗いアラカシなどがある。



ヤナギ類 
沢沿いや河川敷など、水辺に多いヤナギ類はクワガタに人気。幹より柔らかい枝をクワガタがかじって樹液をだすことがあるので、細い枝先もチェック!



カブトムシが採集できる時期はいつ?
 

カブトムシやクワガタが地上に出てくるのは6月下旬〜8月中旬。初夏にコクワガタが顔を出し、続けてカブトムシやノコギリクワガタが現れます。

カブトムシのライフサイクルは1年。晩夏に卵が腐葉土に産み付けられ、秋前に孵化した幼虫は腐葉土を食べて成長します。5〜7月に蛹になり、ひと月ほど過ごしたら地上へと出てきます。クワガタも出現する時期はカブトムシと重なりますが、幼虫の期間が1〜数年と長くなります。

夏の初めのほうが、羽化したての元気な個体が多いですが、盛夏をすぎるころに採集できるメスは、交尾を済ませていることも。こんな個体を捕まえたら、腐葉土を入れた飼育ケースで産卵させると幼虫の飼育も観察できます。


カブトムシ 
写真のオスは「赤カブト」の名で呼ばれる赤みの強い個体。


コクワガタ
春から秋にかけて出現。都市公園などでも出会える。大型の個体は上手に飼えば冬越しさせられる。


ノコギリクワガタ 
盛夏に出現。好戦的な気質で越冬しないタイプのクワガタ。


ヒラタクワガタ 
南方系のクワガタだが近年は関東などでも増加している。寿命は2〜3年。


昆虫採集に必要な装備は?

カブトムシの採集の基本セットが虫かごと捕虫網。この2つがあれば、ある程度の高さにいる虫も採集可能です。捕虫網が届かない場所の虫まで採りたいときは渓流釣りで使うのべ竿があると効果的。ちょんちょんと背中をつっつくと、ポロリと落ちてきます。日中に樹洞にひそむクワガタを探すなら、穴をのぞくライトと見つけた虫を引っ張り出す針金があると便利です。もちろん、ライトは夜間の採集でも活躍します。


採集時の服装は、長袖、長ズボンが基本ですが、近年は気温が高いので、高温多湿な日は半袖に虫除けを併用するなどして、快適さと怪我の防止のバランスをとりましょう。


夏のアウトドアに熱中症対策は必須!手作りドリンクで体に優しい水分補給を
夏のアウトドアでは熱中症に要注意。特にカブトムシ採りをするような気温も湿度も高い夏の森では、適切な水分補給が必要です。汗をたくさんかいて水分とミネラルを失いやすいので、それらを補える飲み物を用意しましょう。注意したいのが飲料にはカフェインレスを選ぶこと。利尿作用のある成分を含んだ飲料では、体内の水分バランスを保つことが難しくなります。

また、体が欲する量の水分を甘い飲み物で摂ると、糖分が過多になってしまうことも。汗で失われるミネラルを含むそば茶や麦茶などを乾きを感じる前にこまめに飲むのが理想的です。

水分の補給、ミネラルバランス、飲みやすさを兼ね備える飲料は、自分でつくることもできます。おすすめは天然果汁に塩を加えて、ミネラルウォーターで薄めたドリンク。とほんのり甘くて塩気もある飲料は、夏場の飲料として理想的です。


アキュアメイドで作る手作り水分補給ドリンク

《材料》
From AQUA 谷川連峰の天然水 1本(550ml)
青森りんご 1/2本(140ml)
塩 1g

この2つを合わせて、塩をよく溶かせば完成。使用する塩は天日塩など海のミネラル成分が含まれているものを使うと汗で失われたミネラルを補うことができます。

自作飲料に限りませんが、夏場の飲料は携行時に冷たさを保って早めに飲み切るのが鉄則。ボトルに直接口をつけず、コップなどに注いでから飲むだけでもボトル内での雑菌の繁殖をおさえることができます。

手作りの水分補給ドリンクを作って昆虫採集に出かけてみましょう!


まとめ
「カブトムシ」を求めて森に分け入るのはちょっとした冒険です。採れれば胸が高鳴るし、採れなければ次回こそは!と奮起します。トライ&エラーを繰り返しながら成功に向かっていくのはさながら現代の宝探し。そのプロセスで学校では手に入らない学びを子供たちは手にすることでしょう。

夏休みの忘れられない思い出作りに、ドリンク片手に森へ出かけてみませんか?





ライタープロフィール
藤原祥弘(ふじわらよしひろ) アウトドアライター
野外活動や野生食材の採集といったテーマでアウトドア雑誌等に寄稿。摩擦発火や無人地帯での野営など、根源的な生活技術のワークショップなども展開する。著書に『海遊び入門』(共著)、『無人地帯の遊び方』(共著)など。編集を行なった本に『わがや電力』がある。


監修者プロフィール
安藤ゆりえ 管理栄養士

フリーランスとして食品会社のレシピ開発や栄養指導、健康栄養情報を発信するWEBライターとしても活動。
「食から健康を見直すならまずは毎日使う調味料から」をコンセプトに地元愛知県三河の八丁味噌や三河みりんなど伝統的な調味料を伝える活動もしている。