おうち時間に楽しみたい映画3選 映画ソムリエの癒しと学びのシネマセラピー

おうち時間に楽しみたい映画3選
映画ソムリエの癒しと学びのシネマセラピー

著:東 紗友美


夏の足音が聞こえ、新しい風を感じるこの季節。

今年の後半戦に向けて、これまでの取り組みをもっと頑張りたい人も、新しいことを始めたい人もいるかもしれません。
今回は、そんな明日に向かう心へ栄養がいきわたるような映画をご紹介します。

癒される、勇気をもらえる、励まされる。そして…人生の学びや気付きもある。
そんな物語を、新しい季節の前に観てみませんか?

さらに、映画を観ながら飲むと“さらにホッと一息”できるような、それぞれの映画にぴったりのドリンクもご紹介します。
心が潤うような映画とおいしい飲み物で、内側からも外側からも栄養をチャージしてくださいね。

※映画に合わせてご紹介する弊社商品は映画との直接的な関わりや繋がりはございません。


癒しのASMRの宝庫:日日是好日(2018)×『朝の茶事』


日日是好日(2018)
監督:大森立嗣
主演:黒木華、樹木希林、多部未華子


もっと自分の世界を広げたい、人生経験を増やしたい。そう考えている人は、少なくないでしょう。
多くの友人を作ろうとしたり、多くの場所に訪れたり。知らないことにチャレンジしたり…。


けれどもそれとは逆に、実はひとつのものごとに打ち込むことこそ、自分の世界を広げてくれることもあります。「無理やり詰め込んだスケジュールに、ときどき息苦しくなってしまう」そんな人に観てほしい映画が、「日日是好日」です。


20歳の典子(黒木華)は、いとこの美智子(多部未華子)と茶道教室に通い始めます。そこで出会った武田先生(樹木希林)の指導を受ける25年間の日々、それをエッセイにしたのがこの映画の原作です。一見狭いと感じていた茶道教室から、典子は年月をかけ、熟成するように精神的な成長を遂げていきます。映画を観ながらその姿を追うだけで、こちらの抱く人生の焦りも同時に薄まっていくから不思議です。


帛紗捌き(ふくささばき)、抹茶を入れる容器である棗(なつめ)の拭き清め方、お茶菓子を食べる順序、ずびずびと音を立てて飲むお抹茶の最後の召し上がり方。1つ1つの所作をじっくり眺めるだけで心地よい程度に集中力を使い、こちらの脳も刺激されます。柄杓(ひしゃく)からの水音、海の波の音、そしてお茶の生まれる音。映画の中では、気持ちの良い水音に何度も出逢います。流行のASMRもいっぱいで、五感も喜ぶ映画です。


そして、1年以上の歳月をかけた役作りで挑む樹木希林さんのやさしい眼差しとあたたかみのある声で学ぶ茶道の作法。気付けば自分が体験教室に参加している気分になり、その新鮮なトキメキに思わず自宅にいる感覚が薄れ、気持ちが軽やかになります。


習い事をしたことがある人ならばきっと、かつての自分を思い出すでしょう。
上達しないもどかしさも、少しずつ達成できるようになっていく幸福感も、何年かぶりに疑似体験することで、時計の針が巻き戻った感覚になります。


「書きモノの仕事がしたい」そう望んでいた典子は、就職をやめ、茶道を続けることしかできません。しかし、その日々が今日のようなエッセイとなり、映画化までされていったのです。何もかも手を出すのではなく、1つのものと丁寧に向き合うことで得られる勲章はいつの日か広い世界へ通じる切符となっていく。そこには、何らかの美学があるように思えてなりません。


この映画のタイトルは、「毎日が良い日」という意味。
上質な旨味の『朝の茶事』を飲んで迎える朝はまさしくそんな“良い1日”への招待状に違いありません。

映画を堪能し、お茶に込められた真心を知った後に味わう玉露の深い旨味に、新鮮な贅沢さを感じるでしょう。








自己啓発本を越える心に効く映画:奇跡のリンゴ(2013)×『青森りんご』


奇跡のリンゴ(2013)
監督:中村義洋
主演:阿部サダヲ、菅野美穂、池内博之


りんごは、アダムとイブが手にとった禁断の果実、Apple製品、世界の中心都市の1つであるNYのニックネーム(ビッグアップル)。人間との密接さを感じざるを得ない果物です。りんごを食べたことがない人なんて、きっといないですよね?
そんな私たちの日常に溶け込んだりんごが、もっともドラマティックなフルーツに思え、慣れ親しんだものの魅力をさらに伝えてくれるのがこの映画です。


この「奇跡のリンゴ」という物語は、皮膚の弱い妻のために無農薬でりんごを栽培することに挑戦した実在の人物・木村秋則さんの人生を描いたものです。主役の木村さん役を、憑依したレベルで阿部サダヲさんが繊細かつ大胆に演じています。舞台は1975年青森県津軽市。当時のりんご栽培には農薬が不可欠で、それは誰もが信じて疑わない常識でした。りんごは何千年もかけて人間が品種改良した“か弱い乙女”のような存在だったので、りんごの無農薬栽培は“神の領域”と呼ばれていたほど。農薬なしでは、ちょっとのことで虫がついてしまいます。


そこで、木村さんは農薬を散布する代わりに、わさび、お酢、麦茶、コーヒー、ニンニク、ウイスキー…など、農薬の代わりになるものを見つけ始めます。終わりない戦いの始まりです。失敗しては、また試す。現代のようにPCもスマホもないので、経過観測も原始的で途方もない道のりです。ときに人は、何もかも持って生まれたような恵まれた人を羨んでしまいます。ですがこの映画を観ていると、泥まみれになりながらも起き上がり小法師のように挑み続ける木村さんのたくましい姿勢に、ほれぼれします。


真の美しい生き方に触れたいのなら、彼の人生を覗くべきかもしれない。辛くなるたびこの映画を観ると「自分も大丈夫だ」と信じられそうな、お守りのようなパワーがありました。切羽詰まってしまうこともあるけれど「すべきこと」ではなく「すべきでないこと」を探す、というこの挑戦が教えてくれる気付きは、働くすべての人にとって参考となるはずです。


青森を代表するフルーツのりんご。そのりんごの花は5月中旬頃に満開を迎え、桜に似た真っ白な花を咲かせます。その花の一部が、頬が染まったようなピンク色に薄付いていて、その可憐さは胸をきゅっと締め付けます。

青い空を背景に花が咲き乱れるこの景色は、絵葉書みたいにノスタルジック。
青森県では、そんなりんごの花が咲くのを誰もが心待ちにしているのではないでしょうか。

そして花が咲いた後、旬の時期に収穫された青森のりんごの素材をそのまま活かし、ストレート果汁100%で味わえるのが『青森りんご』の特徴。
防腐剤不使用、密閉絞りという特別な製法で、とれたての果実のおいしさがそのまま瞬間密閉されています。1口飲めば、りんごのほがらかな香りがふわりと漂い、心のささくれが1つ取れるでしょう。






おいしさに学ぶ人生に必要なこと:そらのレストラン(2019)×『贅沢バニラミルク』


そらのレストラン(2019)
監督:深川栄洋
主演:大泉洋、本上まなみ、岡田将生



この物語は、自分の心の状態をはかる物差しです。この映画が心に染みる人ほど、頑張ってきた人、走ってきた人。だから、おいしいものをたくさん眺めて食のパワーに元気をもらって、自分を労る時間を取ってほしい。そんなことを思います。


北海道の西海岸に位置する海と山の魅力があふれる「せたな町」。海が見える牧場で、牧場とチーズ工房を営む亘理(大泉洋)や羊飼いの神戸(岡田将生)たちは、ある日、札幌の有名なシェフの調理で自分たちが生産した食材がいつも以上においしくなったことに感動します。そして、この感動を自分たちに関わってきた人々に伝えるべく“1日限定のレストラン”をオープンすることに決めるのです。


タイトルから予想される通り、観ているだけでお腹が空くような料理ももちろんたくさん登場しますが、「何を誰と、どう調理して食べるかで心の豊かさが変わってくる」ということが丁寧に描かれている作品です。生産者が食品をどんな想いで作っているのかも、説教臭くなく人々のやり取りにのせて自然に伝わってきます。


“おいしい”という意味の持つたくさんの側面に出会える食育的要素も織り込まれた映画なので、家族やお子様や大事な人と観ることもおすすめ。ちなみに、何かにつけてワンプレートご飯に逃げがちな私も、ひそかにお料理熱が上がり「この皮膚も血液も細胞も、全部食べたものが姿を変えている!」と少々エモい気分になりました(笑)。


また、この映画に登場する人と人の関係性から、

「ときに人は、他人と比べることで自分の価値を確認してしまうし、ヒエラルキーまみれの社会にうんざりして人間関係が煩わしくなってしまうこともあるけれど、人は、1人では生きていけない。でも、誰かと一緒だからといって孤独から抜け出せるということでもない。だからこそ、自分を誇りに思う気持ちと相手を尊重する気持ちをどちらも忘れてはいけないと」という、人間関係の大切なことも学べます。青々と繁る草木、大きく育った野菜、水平線に迷いなく沈む夕日。人と人との信頼関係だけでなく動物との絆も見える北海道の母なる地。ミルクって、お母さんの愛情のようですよね。


そんな北海道の牛乳を使用して生まれた『贅沢バニラミルク』は「飲むソフトクリーム」と呼ばれています。バニラとミルクが溶けあった優しい甘味は、どこか懐かしく。疲れが残る身体をふんわり包んでくれます。

「朝からスイーツを食べるのは難しいけれど、これなら手軽に楽しめる」「昨日、遅くまで頑張っていた隣の席のあの人にも差し入れしたい」そんな風に思えるドリンクです。

普段、都会の真ん中で働いている人も、『贅沢バニラミルク』を飲めば大地の香りを含んだ爽やかな風に吹かれたような気分になるはずです。

 

 

さて、いかがでしたでしょうか。

アキュア公式オンラインストアでは楽しいおうち時間のお供になるような飲み物を取り揃えております。

ドリンク片手に映画を観てほっこり。そんなおうち時間もいいですね。

みなさまが楽しく素敵なおうち時間を過ごせますように。


執筆者プロフィール

東 紗友美 Sayumi Higashi

1986年、東京都生まれ。映画ソムリエ。元広告代理店勤務。『CLASSY』(光文社)、『sweet』(宝島社)ほか連載多数。映画コラムの執筆に加え、テレビやラジオにも出演。また不定期でTSUTAYAの棚にコーナーを展開。映画関連イベントにゲスト登壇するなど、多岐にわたり活躍。

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