Interview
株式会社サザコーヒー 代表取締役 鈴木太郎氏
同席者 Graciano Cruz氏
From AQUAの魅力をもっと多くの方に知っていただきたい! そんな思いから誕生したのが「From AQUAスペシャルブレンド」です。全国のコーヒー通の間でも常に高い評価を得る、茨城県ひたちなか市の自家焙煎(ばいせん)珈琲専門店「サザコーヒー」が監修をおこなった逸品。コーヒーと水の関係や、サザコーヒーのこだわりなどを代表取締役の鈴木太郎さんに伺いました。
今回、取材に同席してくださったGraciano Cruz氏は、「From AQUAスペシャルブレンド」で使用したパナマ産コーヒー豆の生産者。生産地の農場である「ロス・ラホネス」はオーガニックコーヒーの農場として、パナマで最初に認定されています。サザコーヒーとは長いつきあいであり、コーヒーへの探求心を互いに認め合う良きパートナー。
「From AQUA」は軟水なので、やさしい香りが出る豆にこだわりました
コーヒーを淹れる際、水との相性は非常に重要です。「From AQUA」は水としては柔らかい、軟水です。硬水に合わせる豆と、軟水に合わせる豆はまったく違います。硬水に比べて、軟水はいろいろな成分がより溶け出しやすくなっています。つまり、苦みや酸味が強い豆を軟水で淹れると、苦み成分や酸味成分が溶け出しすぎてしまうのです。
旨いコーヒーを作るためには旨い水が絶対に必要だというGraciano Cruz氏。鈴木さんとの関係を、旨いコーヒーを求めて世界を旅する「コーヒーアドベンチャー仲間」だと語る。
「From AQUAスペシャルブレンド」で使用した豆は、パナマのチリキという地域で収穫されたカトゥアイという品種とグァテマラ産のコーヒーをブレンドしました。カトゥアイという品種の最大の特徴は、桃のような甘い香りがするところです。昼夜の寒暖差が激しい地域で育った豆を、完熟するまで待ってから収穫しました。
もう一方のグァテマラ産の豆は、サザコーヒーの物語の中でも、もっともつき合いが長い農園の豆です。サザコーヒーは私の父が始めたのですが、その父が最初に見つけてきたのが今回使用している豆になります。
父が「一番うまい」と言った豆と、私が「一番うまい」と言った豆、ふたつのこだわりが絶妙にブレンドされた、夢とロマン、歴史が詰まったブレンドコーヒーが完成いたしました。
生産したカトゥアイについて写真で紹介してくれるGraciano Cruz氏。コーヒーに対する愛情がひしひしと伝わってくる。
50年以上にわたり、コーヒーにこだわり抜いてきたサザコーヒー
私の父がサザコーヒーを始めたのは1969年のこと。それまでは映画館を営んでいたのですが、当時は第1次コーヒーブームで、たくさんの喫茶店が開業したそうです。テレビや電話などの家電品が普及する中で、徐々に映画館の需要が少なくなりつつあった時代でもありました。
今では、当時開業したほとんどのコーヒー店がなくなっていますが、幸いサザコーヒーは多くのお客さまに支持されて、50年以上コーヒー店を続けることができました。それは、サザコーヒーが、コーヒーに対してあり得ないくらいに愛情を持っているからだと考えています。
父も私も、本当においしいコーヒーに出会いたくて現地に足を運びますし、その中で現地の方との交流を大事にして、本当においしいコーヒー豆を選んでいます。その思いが幹となり、商品開発や業態の変化など、社会の求める価値に合わせて、変化を恐れずに新しいものを生み出してきました。それがサザコーヒーの強みだと感じています。
死ぬまでに口にできる食べ物は限られているから、おいしいものを食べたい
私がサザコーヒーに入社したのは、2000年のことでした。東京農業大学を卒業後に、コロンビアのコーヒー生産者連合の品質管理部で基礎をたたき込まれた後のことです。
その中で、商品開発やコーヒー豆の選別、包材やマーケティング、メニュー開発など、さまざまなことを行ってきました。
私自身のこだわりは、食べ物や飲み物を扱っている以上、「おいしくなかったらいけない」ということです。人間にとって食べ物はとても重要なものです。そして、死ぬまでに口にできる量は限られています。だからこそ、食事の時間というものを大切に考えていきたい。
コーヒーだけではなく、お店で出すケーキにしても添加物を入れればキレイに仕上がるし、効率化にもなるのですが、私自身が食べたくないから入れません。
ソーセージひとつにしても、できるだけワクチンを打っていない豚を選んでいます。食べ物を提供しているのですから、原材料に対しては徹底的にこだわりたいと考えています。なぜなら、いいものはいいものからしか生まれませんから。
おいしいコーヒーを淹れるためにこだわる豆と焙煎
原材料に徹底的にこだわるのがサザコーヒーの流儀です。だからこそ、原材料の調達には本当にエネルギーを使っていますね。それもこれも、私自身が食べたいもの、飲みたいものを作る、という気持ちが原動力になっているのですが(笑)。
コロンビアに5haと21haの農園を作り、そこで自分たちが本当においしいと思う豆を作るための研究もしています。現地に何度も足を運び、おいしい豆を取り寄せて、試行錯誤を繰り返しながら理想の豆を作り出そうとしています。
そして、おいしいコーヒーを飲むために必要なのが焙煎技術です。サザコーヒーではドイツ製の焙煎機を使っています。この焙煎機は父が購入したのですが、当時の年商の2倍くらいしたと記憶しています。父からは「焙煎機を買ったが、これで失敗したら夜逃げだからな」と言われたものでした。
焙煎とは簡単に言うと、コーヒー豆に火を入れる技術です。コーヒー豆は緑色なのですが、火を入れているとやがて黒くなっていきます。その過程の中で味も変化していき、生焼けのときは穀物の味、さらに火を入れると甘みが出てきて、やがてチョコレートのような味に変化します。
最高の味は豆によって違ってきますから、その加減を探すことが大切です。気候や水に合わせて焙煎方法を変えて、最適な一杯を淹れることにこだわっています。
「From AQUAスペシャルブレンド」を最高の状態で味わっていただきたい
「From AQUAスペシャルブレンド」は、そんなサザコーヒーのこだわりを詰め込んだ逸品です。まず包材に関して。
薄く伸ばしたアルミ箔(はく)で内側を覆っていますから、一切の光や酸素を通さない仕様になっています。これによって開封した瞬間、最高の状態の豆を体験できるようになっています。だから、開封してすぐに飲むようにしていただきたいですね。
飲み方としては、まずカップ一杯分のお湯を用意してください。カップのふちにセットしたら、お湯をフィルターの上ぎりぎりまで注ぎます。このときに、コーヒー豆に満遍なくお湯がかかるようにするのがコツです。
その後、注いだお湯がすべてカップの中に落ちるまでじっくり待ちます。コーヒー豆をふやかすイメージですね。おいしいコーヒーを飲むためには、この「待つ」という時間がとても重要なんです。
カップにお湯が落ちきって、そろそろふやけたと感じたら、またお湯をいっぱいに注ぎます。これを、用意したカップ一杯分のお湯がなくなるまで繰り返してください。そうするだけで、今までのコーヒーとはまるで違う味わいに変化します。
「From AQUA」は軟水ですから、とても味や香りが出やすい水です。コーヒーを淹れるという意識ではなく、コーヒー豆をかつおぶしや昆布と考えて、ダシをとるというイメージで淹れていただくと、水とコーヒーの最高の相性を感じていただけるのではないでしょうか。
たくさんのこだわりから誕生した本格ドリップコーヒーを是非ご自宅でお楽しみいただきたいです。